東洋経済オンラインとは
ライフ

イギリスも苦慮する「ストーカー規制」の大問題 法律あっても完全に機能しているとは言えない

7分で読める

INDEX

イギリスのストーカー行為の規制はどうなっているのか(写真:Jose Sarmento Matos/Bloomberg)

福岡市博多駅前で先日、接近禁止令が出ていた男性に女性が殺害される痛ましい事件が発生した。テレビの報道では、欧米の方がストーカーをめぐる厳しい条例があるとされるが、実際はどうなのか。

イギリスでもここ数年、同様の事件が起きて注目を浴びている。被害者となった女性が警察に通報しても、ストーカー行為を止めることができず、最悪の事態に陥る例が実は後を立たない。問題点はどこにあるのだろうか。

「娘のことを忘れた日は1日もない」

ストーカーに娘を殺害されたスー・ヒルズさんは毎日、「もっと自分ができることはあったのでないか」と自らに問う。「もっと娘の言うことを真剣に受け取ればよかった。今日まで、娘のことを忘れた日は1日もない」(「ノーザン・エコー」紙、2022年4月9日付)。

同紙によると、2016年10月、ヒルズさんの娘、アリス・ラグルズさん(24歳)は、自宅で元恋人のトリマン・ディロンに刺殺された。同年1月に友人を通して知り合った2人だったが、ほどなくラグルズさん側から交際終了。その後、電話やスマホにメッセージが大量に届くようになり、さらには彼女が女性の友人とシェアしていた自宅の裏庭へ侵入。警察に通報したが、警察は嫌がらせ行為の域を出ていないと判断し、ディロンを逮捕するところまでは行かなかった。

その後も警察に相談するものの何も手が打たれず、ついに殺害されてしまった。ディロンは間もなく逮捕され、裁判では、ディロンに最短禁錮刑22年の終身刑が科せられた。

同じく2016年夏、19歳の女性、グライス・シャナナさんも元恋人に殺害された。度重なる監視行為や暴力行為などを警察に通報したり、相談したりしていたが、一度などは「警察の時間を無駄に使った」と逆に罰金を取られてしまう。その後も元恋人のストーカー行為は続いたが、シャナナさんは警察に相談するのは「時間の無駄」と判断。ついには、自宅に1人でいたところを狙われた。

次ページが続きます:
【年間170万人以上が被害者に】

2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象