iPS細胞を駆使、実用化は近い?再生医療の最前線 腎臓、角膜、心筋「再生医療研究」第一人者を取材

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最先端の再生医療はどうなっているのか。写真はiPS細胞を用いた再生角膜(写真:西田教授提供)
脳死下での臓器提供を可能にした「臓器移植法」の施行(1997年10月)から四半世紀が経った。だが、臓器の提供数は毎年100件前後にとどまる。
ドナー(臓器提供者)不足が問題となっている日本。iPS細胞などから臓器をつくる「再生医療」という道はないのだろうか。調べてみると、いくつかの臓器ですでに基礎研究が始められ、臨床試験まで進んでいるものもあった。そこで、再生腎臓、再生角膜、そして再生心筋(心臓)という3つの臓器の最先端医療に取り組む3人を取材。そこから見えてきたのは、もはや臓器の再生は夢ではなくなりつつあるという事実だった。
5日連続特集「臓器移植とニッポン」最終回は再生医療の最前線を追う。
1日目:「臓器移植」施行25年でもいまだ増えぬ厳しい実態
2日目:なぜ巨費でも米国へ?「臓器移植」日本で進まぬ訳
3日目:割り切れる?「脳死→臓器提供」決断した家族の本音
4日目:夫から親から…生体腎移植を選んだ「家族の決意」

尿をつくる、血圧を調節する、造血ホルモンを分泌するなど、複雑な役割を持ち、再生は困難といわれている腎臓。横尾隆慈恵会医科大学教授(腎臓・高血圧内科)は四半世紀にわたり、その腎臓の再生に挑戦し、臨床への応用の可能性を探っている。

「再生腎臓」目標は5年以内の実用化

現在取り組んでいるのは、慢性腎不全の患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)とブタの胎児の組織を使って腎臓を再生する研究だ。

横尾隆・慈恵医大教授(腎臓・高血圧内科)
横尾隆・慈恵医大教授(腎臓・高血圧内科)

慢性腎不全は腎機能が徐々に低下し、そのまま放置すると死につながる病気。患者は世界的に増加しており、期待が寄せられている。現在、人工透析などが行われているが、根治策は移植しかない。

「でも、国内のドナーは慢性的に不足しているし、そもそも日本では腎臓病の治療法に重きを置いてこなかった」と横尾教授は話す。

「理由の1つは、腎臓病は悪化しても人工透析という治療手段があるからです。一方、腎移植は脳死下での提供がとても少なく、パートナーや親の腎臓を生体間移植として譲り受けるしかない。いずれにしろ、患者の負担は心身共に大変大きいです」

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