激務すぎて「燃え尽きかけた40代」が今すべきこと ここから「人生の登山計画」の立て直しが必要だ

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Aさん:そのとおりだと思います。でも仕事が忙しすぎて、考える時間がなかなか作れないです。その時間があったら寝たいと思ってしまったり。

神保:わかります、私もそうでしたから。でも毎日10分でもと、お風呂に小さな防水のホワイトボードを持ち込んで自分のやりたいことを書き出しました。未来について考える時間がないまま、気づけばこれまでと同じ登山を60年間続けることはきついです。毎日5分だけでもノートにやりたいことを書き込んでいくことで、1年たてば思考が整理されてくると思います。

今の会社にとどまるか、別の業界に行くのか。誰にも言わなくていいので1人インタビューしてみてください。そうすることで、流されるだけの40代のキャリアの過ごし方ではなくなり、残りの60年の過ごし方を考えることができる。ワンチャンスの人生を、自分と向き合ってほしいです。

心から登りたいと思える山を見つける

神保:Aさんが転職し、新しい企画仕事の形をゼロから考えることもとても面白いと思っています。企画職の今の働き方は本当に正しいのか、Aさんでしか登れない山が見つかるのではと思います。もちろんまったく違う業界に飛び込むのもありだと思います。

もう1つは今の会社を変革することです。ハードワークを否定はしませんが、ハードワークで昇進したAさんだからこそ長時間労働に依存しない仕組みを提案すると説得力があるはずです。後輩を救うことになり、古い体質の業界に一石を投じることになるのではないでしょうか。

Aさん:こうして相談することで、思いがけないところまで連れてきていただいたような感じです。これまで自分の悩みなんて愚痴にしかならないと思って、ほとんど人に言いませんでした。会社を変えていくことも含め、何をしたいのか考えてみたいと思います。もともと好きで得意な仕事なのに、何十年も続けるうちに、やりがいも先行きも見えなくなっていることは不幸だなとも改めて感じました。

神保:新たな仕事像がつくれて、気づいたら会社も変わり、もっとクリエーティブで生産性を上げる業界になる。決して夢物語ではないと思います。

悩みには高尚も下劣もありません。それにもかかわらず、一方通行のコミュニケーションにしかならない、自分だけで解決しなければならないものだと思い込んでいる人が多いように感じます。

Aさんは企画職という多くの方の心に火を灯せる仕事をしているのに、同様に心の火が消えかけている人もいるとしたらもったいない。Aさんの気持ちに火がつけば、同じことに悩む人の心に火を灯すことができると思います。Aさんが「心から登りたいと思える山」をぜひ見つけてください。

国分 瑠衣子 ライター

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こくぶん るいこ / Ruiko Kokubun

北海道新聞社、繊維専門紙の記者を経て2019年に独立。社会部、業界紙の経験から経済・法律系メディアで取材、執筆。趣味はおいしい日本酒を探すこと。Twitter:@8kokubun

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