どの化粧品会社も、バリバリに加工されてフィルターのかかった、実際になれるわけがないくらいに修正された女性の画像だけを使っているように見えた。
「憧れ」の女性の広告画像は、共感できないだけでなく、リアルさも感じられなかった。
私はそういう画像を見ると、自分は美しくない、自分は人並みじゃない、そんな気分にさせられた。
こんな考えにどっぷりつかっているうちに、ふと気がついた。少女として成長していく間も、大人になった今でも、私は自分の体型に不安を抱え、つねにダイエットに追われて、「美しく」いることにフォーカスをあててきた。
それなのに、自分をキレイだと思ったことは一度もなかった。私は、多くの時間をムダにしていたのだ。
自分の人生がどれだけ失われたかを理解すればするほど、どうしようもなく腹が立ってきた。でもそのおかげで、それを変えようという気にもなった。
つまり、幸いにも、それが私に火をつけたのだ。
アイデアが生まれた瞬間
私の直感はこう告げていた。女性たちは、自分とはかけ離れている、その商品による効果だとはとても思えない、加工されたモデルの画像を使った商品の宣伝を見ることにうんざりしているはずだ、と。
まさにその瞬間、私が創業するイットコスメティックスのアイデアが生まれた。
私は、お肌にやさしく、あらゆる年代、肌タイプ、肌色に合うもので、カバー力がありながら、厚化粧に見えない化粧品を創り出そうというビジョンを思い描いた。
そして、当時のほぼすべての美容ブランドとは違い、あらゆる年代、体型、肌色、肌トラブルを抱える女性たちをモデルに起用したいと私は思っていた。この手の商品には需要があるというだけでなく、もっと大きな何かが必要とされているはずだと、心から信じていた。
それは全女性を代表して、美容業界が打ち出している「憧れ」のイメージをめぐる文化を変えることだ。
夢を持つのはたやすいけれど、実現するのは簡単じゃない。
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