さて、困ったことになったものだ。中国がCPTPP(包括的および先進的な環太平洋経済連携協定)への加盟を申請してきたことである。
正直、今の中国がTPPの基準を満たせるとは思えない。「国家資本主義国はお呼びじゃない」と言ってやりたいが、現加盟11カ国の中には、「それで対中輸出が増えるなら大いに結構」という向きもある。中国側も早速、そういう国と接触を始めているもようである。
中国を入れるために特例措置を認めると、ルール全体が歪んでしまう。それではTPPが冠する「包括的・先進的な」という言葉が泣くというものだ。他方、中国側は加盟できなくても失うものは何もない。現メンバー国の足並みが乱れるのを見ているだけでも、「メシウマ」というやつだ。
中国から1週間遅れで台湾も加盟を申請した。この協定は、「義務を履行する用意がある国または独立の関税地域」に開かれている。WTOに中国と台湾が別々に加盟しているように、台湾のTPP加盟が排除されることはない。それでも中国が先に入れば、彼らは台湾加盟を拒否するだろう。台湾は悲壮な思いで手を挙げたはずだ。
「だから一刻も早く米国に復帰を求めよ」と言う声は多い。だが現実味は乏しい。米国が新たな通商協定に加わるためには、連邦政府が議会からTPA(貿易促進権限)を取得しなければならない。このTPA、延長するのは楽だが新たに法案を通すのは至難の業だ。今の米議会では、左の進歩派が反自由貿易で右のトランプ支持派は保護主義だ。中間選挙を控えたバイデン政権にこれを突破するだけの政治的資源はないだろう。
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