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「エビデンス」なんてなくてよい 「ワクチン1日100万回」はEBPMではなかった

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官房長官時代を含め約9年にわたって権力の中枢にいた菅義偉前首相が官邸を去った。新型コロナウイルス感染症への対応に国民が不満を募らせたことが打撃になった。一方、菅政権の大きな成果の1つが「1日100万回のワクチン接種」だ。2回接種率は9月末には6割を超え、先行した米国などを追い抜いている。

菅氏が「1日100万回」という目標をぶち上げた当初は批判が多かった。「打ち手」が確保できていない中、記者から100万回の根拠を問われた菅氏は「インフルエンザでは60万回できている」と返したが、厳密に積み上げられた数字ではなかった。

「自衛隊による1日1万人接種できる大規模接種センターの設置」という首相発言には、与党内からさえ「自衛隊は便利屋ではない」といった批判が出た。当時、河野太郎ワクチン担当相が「1日1万人接種できるかどうかは自衛隊次第」と発言したことに対し、防衛省内でも「実現可能性が議論されていない。政治的パフォーマンスだ」という反発があったという。

こうした批判が出るのは当然でもある。「100万回」はエビデンスに基づく政策立案(EBPM)ではなかったからだ。

非常時対応で重要なこと

行政には公平性や透明性が重要であり、政策は科学的な根拠に基づいているべきである。ただし、それはあくまでも平時のことだ。コロナ禍のような非常時に金科玉条のごとくエビデンスにこだわるべきではない。ワクチン接種では何よりも迅速さが求められた。多少乱暴でも高い目標を明確に打ち出すことに意味があった。「トップが無茶な数字を提示する」ことで、官僚は初めて前例踏襲を打破する知恵を絞り始めるのだ。

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