今年6月末に婚礼大手のワタベウェディングが上場廃止となった。コロナ禍で主力の海外挙式が大打撃を受け、債務超過に陥っていた。私的整理を経てスポンサー企業の完全子会社となった。
この再建スキームの中で、銀行団は90億円の債権放棄を行った。一方、株主は保有する株式を会社(ワタベ)に買い取ってもらえた。結果的に銀行の金が株主に回ったことになる。
最劣後である株主が救われ、弁済の優先順位が高いはずの銀行が損をかぶる──。バブル崩壊後に何度も起きてきたことだ。
法的整理(いわゆる倒産)に陥ると株式は紙くずになることが多い。これは、債権のほうが株式よりも優先して弁済を受けられるという大原則があるためだ。
だが、この大原則がねじ曲げられることは珍しくない。行き詰まった企業は、裁判所の決定に基づく法的整理ではなく、私的整理を選ぶことが少なくないからだ。
法的整理よりも融通が利く私的整理が企業再建の有効なスキームの1つであることは否定しない。ただ、代表的な私的整理である事業再生ADRでは、仲裁役を担う専門家の費用を企業自身が負担することが多い。そのせいか、銀行による債権放棄が安易に行われすぎているように思う。
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