7月に公表となった2021年版『厚生労働白書』では、「新型コロナウイルス感染症と社会保障」をテーマに、感染症が国民生活に与えた影響や、各種対策の国際比較などが示された。その中で、課題の1つとして挙げられたのが「社会保障におけるデジタル技術の実装化」だ。
折しも、デジタル政策の司令塔となるデジタル庁が9月に発足した。以下では、白書などを参考にしながら、コロナ禍での経済対策を振り返り、社会保障分野におけるデジタル化の必要性と課題を考えていく。
まず、感染拡大時から20年12月までの1年間に実施された日本の主な経済対策は事業規模で約191兆円に上り、リーマンショック時の1.5倍になった。また、20年12月末のIMF(国際通貨基金)の推計によれば、「政府支出」と「融資等」による日本の経済対策支出(GDP〈国内総生産〉比)は44%に上り、ドイツ(39%)、英国(32%)、フランス(24%)、米国(19%)、カナダ(19%)に比べて、最も高い水準であった。
行政のデジタル化との関連では、経済対策の中でも給付や貸し付けといった生活支援策が注目される。上の6カ国は、いずれも低所得世帯に対する支援を行っているが、日本と米国は「国民全般」を対象にした支援も実施した。
日本では、行政のデジタル化の遅れから迅速な給付ができず、結局、1人当たり10万円の特別定額給付金が全国民に支給された。この事業規模は、1回限りの給付であるのに約12.9兆円。ちなみに、生活保護費の負担額は、年間で約3.8兆円である。生活保護は、所得や資産などの資力調査を実施したうえで「真の困窮者」に支給される。資力調査にはスティグマ(恥辱)を伴うという欠点があるが、真の困窮者の見極めをしなければ、支給額は膨大になる。
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