有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #経済を見る眼

「外部性」で考える感染症の経済学 経済活動やワクチン接種をどう見るか

3分で読める 有料会員限定
東京財団政策研究所上席研究員 早川英男(はやかわ・ひでお)1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2020年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

コロナ禍における問題を経済学的に考えるためのキーワードは「外部性」である。感染リスクがある環境で生産や消費を決める際、人は当然自らが感染するリスクを考慮する。しかし、自分が他人を感染させるリスクを十分に考慮するとは限らないので、そこには「負の外部性」が生じる。その場合、経済活動を抑制することが社会的には望ましい。

難しいのは、各種の経済活動がどの程度の感染リスクを伴うのか、よくわからないことだ。昨年春時点では、各国があらゆる経済活動を強く制約して、世界景気の急激な落ち込みを招いた。専門家の間でも、「やりすぎ」だったとの見方が多い。一方、感染リスクが比較的高いとみられる観光に補助金を出す「Go To トラベル」は負の外部性を抑制する原則に反した。

昨年からの経験で、新型コロナウイルスは飛沫感染が中心で、マスクをして会話を控えれば、通勤列車での感染は少ないことがわかった。今年に入って行動制限が飲食中心になったのは、こうした学習の結果といえる。ただデルタ株は感染力が高く、百貨店などでもクラスターが頻発していることを考えると、今後は飲食だけでなく、テレワークを強化して通勤者数自体も抑制する必要がありそうだ。

もう1つ注意すべきは、流行時には、経済活動に制約がないと感染者数が指数関数的に増加する点である。望ましい経済活動の水準を決めるには、今日の感染リスクだけでなく、将来の感染リスクへの影響も考慮することが必要になる。この点を踏まえると、行動制限は早めに開始して遅めに終了し感染者の母数を少なくすることが、経済へのダメージを減らすためにも望ましい。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数