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五輪の好機を生かせず、コロナ対応の無策 水際対策を見直す契機にするべきだった

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  • 佐藤 主光 一橋大学大学院経済学研究科教授
一橋大学大学院教授 佐藤主光(さとう・もとひろ)1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

東京五輪の大会期間中、政府がうたう「安心・安全」とは裏腹に変異株を中心として新型コロナウイルスの感染拡大が続いた。東京都の1日の新規感染者数は5000人を超え、選手を含め五輪関係者にも感染が広がった。ワクチン接種の普及もあり高齢者の感染は抑えられ、重症者数も急増はしていない。とはいえ、医療の逼迫への懸念が残る。

仮に時計の針を戻せたらだが、東京五輪は新型コロナ対策を強化する機会になりえたのではなかっただろうか。

五輪の延期が決まったのは、昨年3月24日だった。例えば、この延期の間に空港での水際対策を改善することもできただろう。具体的にはPCR検査の徹底、濃厚接触者の確認および検査陽性者が待機する宿泊施設の確保、それに向けた空港と保健所、医療機関の連携体制の整備などだ。

むろん、五輪とは関係なくこれまでも水際対策は講じられてきた。すべての入国者について14日間の待機期間などを求めている。ところが、帰国者と隔離期間中に連絡が取れなくなるケースが報告されるなど水際対策の不備が露呈している。検疫は空港、濃厚接触者の判定と対応は自治体の保健所という行政の縦割りのままだった。

このため、濃厚接触者であるにもかかわらずウガンダの選手が空港を出て、そのまま合宿地に入った事例もある。本来、五輪をこうした水際対策を見直す契機にするべきだった。

同様のことは医療提供体制にもいえる。大会期間中の医師・看護師の動員や感染した五輪関係者への対応が地域医療を逼迫させるとの懸念もあった。しかし、逼迫しないようあらかじめ医療従事者や病床の確保を進め、大会の期間外でもコロナ患者を受け入れるキャパシティーを高めるという発想があってもよかった。

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