異常を察知するとさえずりをやめるカナリアは、高性能なガス検知機器ができるまでは炭鉱労働者の命を守る警報器だった。転じて「炭鉱のカナリア」は危機の前兆を指す。金融市場の中ではクレジットがその役割を担ってきた面がある。
現状のクレジット市場を見る限り、カナリアは鳴き続けている一方で、クレジットスプレッド(リスクに応じた利回りで信用力を示す)は日米欧いずれも0.5%ポイントを割り込んで久しく、十分にタイトで信用環境はよい。今後はさらに改善される可能性がある。3つ指摘したい。
第1にファンダメンタルズが徐々に改善されている。2021年第2四半期決算では企業の収益性が改善し、前期比で見たEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は米国13%増、欧州6%増となった一方、負債水準は変わらず、結果的にレバレッジが改善されている。
つれてライジングスター(投機的格付けの企業が財務内容の改善により投資適格まで格上げされるもの)も多い。BNPパリバ証券では、経済が改善に向かい、資金調達環境が良好なことに後押しされて、今後12カ月でクレジット発行残高のうち米国では1120億ドル、欧州では310億ユーロがライジングスターになっていくとみている。
第2に流動性が十分に確保されている。パンデミックを経験し、多くの企業が一定程度の流動性を確保したことが大きい。
価格は高止まり
第3に需給も良好な状況が続く。資金を十分に確保しているため各企業の発行意欲は限定的である。とくに投資適格市場では年初から7月28日までの起債が前年同期比で米国21%減、欧州6%減となっている。発行量が少ないのに買い手が多ければ、価格の高止まりは道理だ。
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