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揺るがない日本の「インフレ期待」 日本の物価にコロナショックは生じていない

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  • 森田 長太郎 オールニッポン・アセットマネジメント執行役員/チーフストラテジスト、ウォールズ&ブリッジ代表
もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

FRB(米連邦準備制度理事会)が重視する米国のPCEデフレーター(個人消費に関わるインフレ率)は、6月は食品・エネルギーを除くコア指数で前月比プラス0.4%と、一時の同プラス0.6%からは伸びが鈍化しつつある。3月に大きく跳ね上がって以降、「米国のインフレ懸念」がグローバル金融市場において大きな焦点となっていたが、そろそろ沈静化する兆しとも見える。しかし、米国のインフレをめぐる議論はおそらくまだ終わらない。

代表的な価格高騰製品である中古車の価格は、PCEで見て1月からの累計で34%も上昇している。こういった製品の価格急騰が止まるだけでも、指数全体の伸び率は鈍化する。これは当然想定されるプロセスだ。問題は、一定の停滞や反動の局面を経た後に、インフレ率がどういう水準に収斂するのかである。そこでのポイントは、企業の価格設定行動と消費者の期待インフレ率だと考えられる。米国においては、このいずれもがインフレ率を押し上げる方向に傾斜しているように見える。

このうち企業の価格設定行動の強気化については定量的な把握は難しいが、アネクドータル(逸話的)な情報は無数にある。例えば、米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは先月、米CNBCのインタビューで、「あらゆる企業のCEOから大幅な価格上昇の話を聞いており、これらの企業は価格転嫁を行っている」と述べている。

一方、期待インフレ率については、家計へのヒアリングベースのデータがある。7月の米ミシガン大学の調査では5年先インフレ率予想は2.8%である。この数値は3%弱で長期間安定していたが、コロナ危機前の5年間程度は2%台前半に鈍化し、米国のディスインフレ傾向を示唆する指標と見なされていた。それがコロナ危機発生後に、短期間で回復してきたのである。

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