欧州の温室効果ガス排出権の取引を行う市場では騰勢が止まらない。直近でCO2(二酸化炭素)1トン当たり57ユーロの高値をつけている。欧州では1次市場と2次市場を合算すると月間10億~15億トンの排出枠が売買されている。月間500億~750億ユーロ(1トン50ユーロ)、約6.5兆~9.8兆円の巨大市場だ。
2005年に誕生した同市場はEU-ETS(EU-Emissions Trading System)と呼ばれるが、現在21ものETSがEU(欧州連合)を含む世界各地で運営されている。今年始動したのは中国とニュージーランドで、後者は筆者も参画するEEX(欧州エネルギー取引所)が同国政府とともに市場運営に携わる。
EU加盟27カ国と英国やノルウェーなど4カ国が参画し域内排出量の45%をカバーする欧州市場は、排出枠の割り当て入札を行う1次市場と割り当て済みの排出枠を売買する2次市場に分かれる。1次市場はEEXが約9割の市場シェアを占有、2次市場ではスポット・先物・オプション取引が行われEEXとICE(インターコンチネンタル取引所)がシェアでしのぎを削る。今まで入札された排出枠は43億トンで昨年は33社が8億トン超の入札に参加している。
EEXが運営する2次市場では現在、エネルギー、電力、製造業、銀行、投資運用などの業界から約80社が取引に参加、この2年間で参加企業数は倍増した。先物の建玉残高は市場全体で約20億トン、時価総額で1000億ユーロ(約13兆円)となった。
価格の推移を振り返ると、08年の金融危機から長期下落トレンドが続き、1トン当たり30ユーロ近辺から12年には5ユーロを切る水準にまで下がり、その後は17年まで1桁台で低迷した。EUが排出枠を削減し始めた18年から相場は上昇するも、昨春のコロナ危機で17ユーロまで急落。しかしその後、脱炭素と経済成長の両立を図る「欧州グリーンディール」の戦略進展を材料視して、ヘッジファンドなど金融プレーヤーがこぞって市場に参入。株式市場や化石燃料価格の急反発の流れにも乗って相場は一本調子で急上昇し、昨春の底値から3倍超への急騰を演じている。
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