グローバルな金融市場は、この数カ月間、米国のインフレ動向に目を凝らしてきた。6月も物価データへの関心は高く、実際、消費者物価指数の実績は事前予想を上回る前年比プラス5%に達していた。それを受けた6月15〜16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)にも注目が集まったが、3カ月に一度の各メンバー見通しでは、2023年末時点で2回の利上げが予想された。3月時点では利上げは1回の予想だった。
しかし、通常、金利上昇の材料と解釈されうるこれらのイベントを消化したうえで、米国の長期金利は逆に低下し、5月末に約1.6%だった米国債10年物金利は6月下旬には一時1.3%台をつけた。
それ以上に目立ったのは、30年債金利の動きである。利上げ開始の前倒しを織り込み、米国の中短期債金利は上昇し、FOMCを挟む1週間で5年債金利が0.14%ポイント上昇した。だが、30年債金利は逆に0.13%ポイントも低下した。これがどれほど異例の事態かというと、5年債金利の0.1%ポイント超の上昇と30年債金利の0.1%ポイント超の低下が1週間で同時に生じたのは、過去30年間でわずか4回だけである。
しかも、その4回の1992年、00年、02年、11年の事例は、いずれもFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ、利下げ、新規の操作手法の導入といった具体的な政策変更決定の前後で発生している。今回のようにFOMCでわずかなスタンスの変化が示されただけで、これほど極端なイールドカーブ(残存期間と利回りの関係を示す曲線)の形状変化が生じたことは一度もない。今回の市場変動を6月のFOMCですべて説明しようとすることには無理がある。
超長期債に異例の需要
30年債のような価格変動の大きい超長期債を購入するのは、生命保険会社、年金基金など長期の負債を持つ投資家か、低金利環境において少しでも高い金利水準を欲する投資家で、一部に限られる。
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