ブレント原油が鬼門の1バレル当たり71ドルを超えて騰勢を強めている。71ドルは過去何度も試して超えられなかった壁である。新型コロナワクチンが普及して石油需要が戻ってもOPECプラス(石油輸出国機構加盟国とロシアなど)以外の産油国が増産しないのが一因だ。
シェール革命で世界3大産油国の1つに躍り出た米国は、以前は油価が上がれば機敏に増産して相場上昇を抑えてきたが、今回は違うようだ。シェール企業は油価上昇で得た利益を掘削活動よりも株主還元に回している。昨年7月以降、米国の産油量は横ばいだ。
シェールを目の敵にしてきたサウジアラビアのエネルギー相は「米国の掘れ掘れドンドンの時代は終わった」と喜ぶ。世界の石油供給は2大産油国のサウジとロシアがリードするOPECプラスの支配する寡占化の時代へと移行しつつある。5月26日にはその流れを助長する事件が奇遇にも2件同時に起きている。
急すぎる脱炭素の動き
まず、1世紀にわたって国際石油メジャーの頂点に君臨してきた米エクソンモービル社の株主総会で事件が起きた。同社のわずか0.02%の株主だが、脱石油路線でアクティビストのエンジン・ナンバーワン(消防1号車)なるヘッジファンドが提案した環境保護派の取締役が選任されたのだ。少数株主の提案であったがブラックロックやバンガードも支持したため、受け入れざるをえなかった。
しかし、彼らは環境保護団体ではなくあくまでも利潤を追求するファンドであり、最終目的は同社の企業価値と株価を上げることにある。収益力・株価・配当を下げずに化石燃料依存の事業モデルを転換することを経営陣に迫っているのだ。
2つ目の事件はオランダの裁判所で起きた。欧州を代表する国際石油メジャーのロイヤルダッチシェル社が環境保護団体に敗訴したのだ。オランダ・ハーグの地方裁判所は同社に対し、掲げている温室効果ガスの排出削減目標が不十分だとしてより厳しい目標への修正を命じた。
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