4月初旬のG20(主要20カ国地域財務相・中央銀行総裁会議)で、途上国への支援継続が合意された。低所得国に対する債務返済猶予の期限を6月末から12月末に再延長したほか、中所得国向けバッファーとしてSDR(IMF特別引き出し権)を通常より60%増額して対応することも決定。これで新興国の流動性枯渇によるデフォルトに対して、当面のセーフティーネットができたことになる。デフォルトが相次ぐという事態は、年内は起きないであろう。
しかし、デフォルトリスクが低く抑えられたからといって、信用リスクが高まることを無視してはなるまい。この1年以上、世界中がコロナ禍による経済下押しと戦ってきた。戦法はどこも似たり寄ったりで、金融緩和と大規模財政政策で景気を下支えしてきた。無理を続ければ疲弊するのは皆同じだが、シワ寄せは弱いところほど先に来る。新興国のリスクは先進国より顕在化しやすい。
利上げは避けられない
新興国は利上げ局面に入ったとみている。そう判断する理由は3つ。
第1に、コモディティー価格からの圧力である。新興国のCPI(消費者物価指数)バスケットを見ると、食料品のウェートが平均26%と先進諸国の16%を大きく上回る。国際的な食料品価格の値上がりによるインフレ率上昇は新興国のほうが大きい。
第2に金利低下とコロナ禍に対応した優遇貸出制度、税還付に加え、財政政策による支援措置が提供されるケースも多く、不動産の需要が伸びた国が散見された。その結果、不動産価格が2019年以降平均2%上昇している。
第3に、米国経済対策による新興国への影響である。家計向け現金給付を柱とする米国救済計画(ARP)とよりよい復興インフラ投資プログラム(BBB)によって、米国のGDP(国内総生産)が押し上げられる。これがとくにコモディティー輸出国には追い風となる。メキシコをはじめ、サウジアラビア、チリ、アルゼンチン、南アフリカなどもその恩恵を受けることが想定される。猛烈な輸出増は新興国の成長率を21年に平均0.9ポイント、22年1.1ポイント、23年0.6ポイント押し上げるとみている。それがさらに原材料価格を上昇させかねない。
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