1〜3月期GDP(国内総生産)の大幅下振れもあり、海外に比べてワクチン接種が遅れたことによる日本経済の劣後や日本株の相対的な水準の悪化が指摘されている。NYダウ平均株価に対する日経平均株価の比率は2月の0.96から5月は一時0.8まで低下した。
ただし、ワクチン接種完了が1〜2四半期遅れることだけで、日本株の軟調を説明しようとするのには無理がある。内需は当面厳しいが、世界経済回復の恩恵は輸出製造業に早々に及んでくるはずで、ワクチン接種進捗後の日本経済のキャッチアップを疑うべき理由も見当たらない。
日本経済への「相対的悲観論」以外に日本株軟調の要因があるとすれば、やはり日本銀行のETF(上場投資信託)購入スタンスの修正が大きいだろう。
日銀は3月の決定会合で、ETFは「必要に応じて買う」という方針に変更したが、「必要に応じた購入」がどの程度なのかは当初わからなかった。しかし、4月から足元まで(5月24日時点)の購入額は累計わずか700億円にとどまっている。株価が大きく下落する局面では購入額は増加する可能性があるとはいえ、現状程度の株価水準が続く前提では、年間購入額は数千億円で終わる可能性がある。
年間購入予定額を3兆円に引き上げた2014年10月以降、年平均5.1兆円、累計で約32兆円の日本株ETFを日銀は購入してきた。「アベノミクス相場」といわれた13〜14年の株価急騰局面で約18兆円の日本株を買い越した外国人投資家は15年以降、売り方に回ったが、日銀はその受け皿となる以上の購入を行ってきたのである。
それがほぼ消失することとなった今、日本株の需要を支える新たな投資主体はまだ見いだされていない。外国人投資家は昨年秋ごろから緩やかな買い越しに転じてきており、コロナ対応の財政政策で未曽有の余剰資金を積み上げている個人投資家なども新たな投資主体として期待されるが、現在はまだ「日銀なき後」の需給面、価格面における落ち着きどころを探っている段階といえるだろう。
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