仮想通貨(暗号資産)のビットコインの相場が、足元で乱高下を繰り返している。5月19日には一時、前日比30%もの急落を見せた。
急落の要因は、中国の規制当局が、国内金融機関に対して「仮想通貨向けにサービスを提供することを禁じる」と通告したことだ。また、EV(電気自動車)メーカーである米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が、今年2月に表明した「ビットコインをEVの購入代金として受け入れる」との方針を、撤回したこともある。
しかしこれらは相場下落のきっかけにすぎない。ビットコイン相場のボラティリティー(変動率)の高さの底流にあるのは、そもそもビットコインの価値が不明確であることだ。ビットコインを支える分散型元帳技術のブロックチェーンは利用価値が高いものだが、ビットコインだけではそうとはいえない。価値が明確でない資産は、いわゆる価格発見機能が低く、何らかのショックで価格のボラティリティーがひとたび高まると、それを収束させるメカニズムは働きにくいのである。
ビットコインは株式や債券と違いキャッシュフローを生まない。その点ではコモディティー(商品)に近いが、金(ゴールド)のように宝飾用、工業用に利用されるという明確な価値はない。ビットコインの唯一の価値は、銀行送金に比べてより安価な送金を可能にすることだが、実際にはその法定通貨に対する価格変動の激しさなどが制約となり、支払い手段としてはほぼ使われていない。
ちなみに、ビットコインが送金手段として利用される場合には、既存の銀行送金の手数料(おおむね一定額)とビットコインの手数料(送金額の一定比率)が同額となるときの価格がビットコインの価値の理論値であると考えることができる。それは筆者の試算によると40万円程度である。現在、ビットコインは4万ドル(約436万円)程度の水準で推移しており、急落後もなお理論値と比べて10倍程度も高い水準にある計算となる。この点から、下落リスクはまだそうとう大きいといえるのではないか。もちろん、ビットコインが広く支払い手段、送金手段として利用されていない現状では、こうした理論値も大まかなメドでしかない。
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