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「弱い日本の強い円」が再現へ 経常黒字国・対外純債権国の宿命

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  • 佐々木 融 ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト
ささき・とおる 2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

新型コロナウイルス感染拡大は、世界全体に同質の試練を、ある意味で公平に、かつほぼ同時期に与えたという点で珍しい現象だった。そして、その禍への各国の対応力の差が、さまざまな数値、言い換えれば成績として明確に表れたという点でも通常の地政学的リスクとは大きく異なる。日本はその結果、いつの間にか世界にかなり後れを取ってしまっていることを世界に明らかにしてしまった。コロナ禍前から気づいていた人も多かったのかもしれないが、日本は世界の中でも進んでいる国だという固定観念が強かった筆者にとってはややショックだった。

世界の実質GDP(国内総生産)はすでにコロナ禍前の水準を回復しているが、日本はまだ回復できていない。これは世界金融危機(リーマンショック)後と同じ現象だ。その意味では日本が世界から遅れているという現象はすでに10年以上前から始まっていたといえそうだ。

政治が悪い、社会のシステム・構造が悪いと批判できるかもしれないが、今の政治体制を選んでいるのは国民であり、結果的に過去から続く社会システム・構造を好んで維持・選択しているのも国民だ。国民全体で現実を直視し、今後どのように変わっていくべきなのかを考えなければならないのだろう。

黒字・債権大国の宿命

日本の力が弱いなら円安になると思う人が多いかもしれない。しかし、円相場のメカニズムはそのようには働かない。日本はわれわれの先輩たちが積み上げた巨額の対外純債権と、そこから発生する利益による巨額の経常黒字を抱える国だ。したがって、証券投資、直接投資、投機的な取引がなければ、為替市場では外貨売り・円買いのほうが多くなる。つまり、誰も新たな投資を行わなければ円高になるのが自然だ。国際収支のインバランスが為替相場によって修正されるという考え方は、マクロ経済の基本だろう。

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