米国銀行の2021年の4~6月期決算発表が出そろった。M&A(合併・買収)の活況に加え、保守的に積み増しされていた貸倒引当金の戻し入れにより業績が押し上げられ、軒並み収益は好調である。
6月末にFRB(米連邦準備制度理事会)が行ったストレステストでは、大手行は軽々と審査を通過して、コロナ危機の下で課せられていた配当・自社株買いの制限が解除された。シティだけは増配を見送るなど若干異なる判断をしているが、他の大手行は積極的に増配、自社株買い計画を着々と履行し、好調な業績と健全な財務状況をアピールしている。
しかし、手放しで安心できるとみていてよいのだろうか。懸念を3点指摘しておきたい。
第1に、流動性ギャップ(貸し出しと預金の差)が大きいことである。コロナ禍への対応としてFRBが準備預金を拡大したことにより、米銀のコア預金は21年第1四半期に過去最高となる1.3兆ドルの伸びを記録。全体的な流動性ギャップのマイナス幅は3.65兆ドルに拡大している。貸し出し需要が低く預金が高水準となっている状況で、今後イールドカーブがフラット化(短期金利と長期金利の差が縮小)すれば、銀行収益に対する強い逆風になると考えられる。
第2に、補完的レバレッジ比率(SLR)規制の変化である。同規制は資産規模に応じて一定比率以上の資本を保有することを銀行に義務づける規制だ。グローバルに活躍する金融持ち株会社の場合、分子をTier1(質の高い中核的な資本)、分母をレバレッジ与信とする比率において、最低5%を確保する必要がある。コロナ禍において分母から米国債や準備預金を控除する規制緩和が認められていたが、これを今年4月から通常の規制に戻したところである。
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