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70年代まで後退した日本人の購買力 為替市場では円が独歩安

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  • 佐々木 融 ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト
ささき・とおる 2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

今年に入ってからの為替市場では、円が独歩安となっており、円の実質実効レート(複数の通貨間で見た円の実力)は2015年6月につけた1970年代前半以来の最安値まであと4%程度となっている。過去20年間の平均からは20%、過去30年間の平均からは30%も割安となっている。

長期的に見ると、円の弱さは今年に始まったことではない。円の実質実効レートはアベノミクス開始後に大幅に下落して以降、70年代前半と同じレベルで推移し続けている。このことは、単純に言えば日本人の海外での購買力も70年代前半と同水準になっていることを意味する。

その前は来日する外国人は一様に日本の物価の高さに文句を言っていた。一方、日本人が海外旅行に行くと、免税店で日本に比べて割安なブランド物を購入して帰るのがお定まりだった。

それがアベノミクス以降に大幅な円安になると逆転し、来日した外国人が「日本は安い」と言うようになる一方、日本人が海外旅行に行くとさまざまなモノを高いと感じるようになった。

なぜ、円はこれほどまでに割安となり、その購買力は低いままになってしまっているのか。

現象面から単純に解説すると、それは「日本の物価が他国と比べて上昇していないのに、為替レートがその分の調整をしていない」からだ。00年以降の約20年間で見ると、日本の消費者物価指数は2.6%しか上がっていない。一方、その他の国を見ると、米国の消費者物価指数は54%、ユーロ圏は40%、英国は51%も上昇している。これは、物価上昇率の差の分だけ、円という通貨の相対的な価値が他国の通貨に比べて上昇したことを意味している。

しかし、実際の名目為替相場を見てみると、ドル円相場は00年の平均レートと21年前半の平均レートがほぼ同水準、ユーロ円相場、人民元円相場は逆に現在のほうが円安水準となってしまっている。

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