近々誕生する新首相、新内閣の最初の大きな仕事は経済対策の策定になりそうである。「30兆円」という数値も取り沙汰されているが、2020年度の3回の補正予算に巨額の使い残しが発生している。財政政策の効率性について、改めて議論すべき局面なのではないか。
財政政策の効率性というと、個々の施策の政策効果はもちろん重要だが、マクロ的な観点からは、経済対策規模に占める「真水」の比率にまず注目が集まる。公共投資など政府が直接投資や消費を行う部分が「真水」である。それが家計や企業の支出行動を通じて発現する乗数効果の多寡も、GDP(国内総生産)への寄与という点で重視される。
しかし、昨年度の3回の経済対策では、各種の給付金や資金繰り支援など、政府が直接投資や消費を行わない財政支出が実に70%近くを占めていた。それらの資金を家計や企業が退蔵してしまえば、個人消費や設備投資を通じてGDPを押し上げる効果はゼロになる。
「真水」の少なさを糊塗する意味もあって、最近では、「国費規模」とか「財政支出規模」といった数値が強調されるようになった。「国費」は一般会計歳出、「財政支出」は財政投融資まで含めた数値を指すことが多い。
「真水」以外の財政支出が直接的に変化させる経済指標はGDPではなく、マネーストックや家計の金融資産である。すなわち、政府部門から給付金や資金繰り支援の形で財政資金が支払われれば、少なくとも銀行預金など家計や企業の金融資産は増加する。減税が行われる際も同じことが起きる。家計や企業は、その時点では自分の富が増加したと認識することになる。
実際、20年度に家計の金融資産は株式などの評価益を除いても55兆円増加した。実に17年ぶりの伸びであり、コロナ対策として行われた財政支出は、少なくとも家計の懐具合を相当程度豊かにしたのである。
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