[Profile] ほんま・まさと 秀明大学総合経営学部准教授、元防衛事務官。1969年生まれ。福島大学卒業。97年、防衛庁入庁。主に調達関係畑を歩み、旧管理局原価計算部に15年間在籍した。その後、埼玉大学大学院経済科学研究科博士後期課程に入学し、博士号(経済学)を取得。
戦争にはお金がかかる。多くの燃料や弾薬が必要になるし、軍需補給にも人員や物資が大量に投入される。だが、国の一大事とはいえ、それらを湯水のように使えるわけではない。
軍隊も国の機関の1つだ。ほかの役所と同じで、予算がなければ動けない。では、戦前・戦中の日本では、いかに予算内で軍需品を調達していたのか。本書は日本陸軍の会計経理機能に着目し、軍におけるお金の流れを1次資料を基に解き明かしている。
日本陸軍と聞くと、古くさい組織を思い浮かべるかもしれないが、会計については超先進的だった。例えば、企業から軍需品を調達する際は適正価格主義を採用していた。
適正価格とは「原価+一定の利益」。陸軍は企業から物資を買いたたいたりはしなかった。適正な利益を与え、企業の持続的成長を促す方針を徹底していたわけだ。
また、利益は価格に対し一律で上乗せされるものではなく、業種や資本構成比率などに応じて算出された。これはまさに21世紀のグローバル企業の調達に通じる姿勢だ。こうした仕組みを提案したのが、後に「マレーの虎」として知られた山下奉文将軍というから、さらに驚かされる。
もちろん、限りある予算で必要な物資すべてを調達することはできない。開戦すれば台所事情はさらに逼迫する。そこで経理部門は、内地からの補給の負担や輸送のコストを軽減するための計画を立案し、物資の現地調達、現地生産による自活を推し進めた。
現地での生産物は多岐にわたり、豆腐やパン、最中(もなか)、まんじゅう、漬物、こんにゃく、サイダーなど。戦地で人気の酒も、現地で生産を始めたら、品質が内地産を上回るほどになったとか。
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