クラス(class)かカラー(color)か──。昨年の大統領選挙に勝利し政権を奪還したので目立ってはいないが、民主党は党の根幹に関わる問題を何も解決できていないままだ。格差問題に対処する気があるのか、それともアイデンティティー政治にかまけて米国の分断に拍車をかけ、再びトランプ現象を勢いづかせてしまうのか、という問題である。
格差問題は階級闘争、すなわち「クラス」であり、アイデンティティー政治は「カラー」、すなわち人種やジェンダーを中心とした文化闘争だ。もちろん格差問題には人種も絡む。画然と分かたれるわけではない。どちらが党の中心課題かということである。今また、その確執が、党内左派の分裂という形で浮上している。
2016年大統領選でのトランプ勝利は、民主党に大きな反省を迫った。大統領候補選びは民主社会主義を掲げるサンダース上院議員の躍進で大揺れとなった。主流派のクリントン元国務長官を何とか候補にしたものの、白人労働者らを「嘆かわしい人々」と呼んだりして敗北を喫した。
選挙後に敗北の根本原因として、アイデンティティー政治が挙げられた。さまざまな人種・ジェンダー集団の「対等願望」を操って、集票力として利用するような政治のことだ。気がついてみると、それが長く民主党主流派の中心的課題になっていた。なぜ問題なのか。
1930年代のニューディール期以来、民主党は労働者階級を重要な支持基盤としてきた。階級格差(「クラス」)に取り組むことこそ、党の中心的課題だった。しかし、60年代の黒人差別撤廃運動、ベトナム反戦運動、新左翼運動の過激化とともに白人労働者階級は徐々に民主党を離れ、共和党に取り込まれ出した。民主党政権の経済政策の失敗も労働者を遠ざける要因となった。政治の争点も、経済に代わって中絶問題など「価値観」の比重が高まり出した。
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