年明けの電力市場は未曽有の混乱に陥った。JEPX(日本卸電力取引所)の直物卸電力価格は、再生可能エネルギーによる供給過剰とコロナ禍による需要低迷で長らく1キロワット時当たり5円前後で推移してきた。これが200円超に跳ね上がるという前代未聞の事態となったのである。
電力という商品は貯蔵が利かない特性から、需要量に合わせて発電量を時々刻々調整する必要がある。需要が急増し供給が不足する場合には需要が抑制されるまで価格が上がり続け、最悪の場合には停電が起きる。
今回の事態にはいくつかの要因がある。まずは年末から日本列島を含む北東アジア全域を襲った寒波である。コロナ禍で産業需要は抑制されたが家庭の暖房需要は増加した。加えて再エネによる供給が夏場は機能するが、冬場は不安定になる。
そんなときには化石燃料で発電するのだが、低炭素時代で環境負荷の低い天然ガスへの依存度が近年増えており、島国の日本は海外から液化天然ガス(LNG)を輸入する必要がある。
今回の危機にはこのLNGが大きく関わっている。寒波が北東アジア地域を直撃したことから中国や韓国でも発電需要が急増した。とくに天然ガスへの移行を強行する中国は12月には900万トンものLNGを輸入し、わが国を抜いて世界最大の輸入国に躍り出た。外交問題で豪州炭を締め出したことも一因だ。
わが国は昨年末まで卸電力価格が低迷したため発電業者はLNG調達を抑制し手持ち在庫も絞っていた。そこに寒波が襲来し、急きょ燃料調達に動いたものの、他国も買い出動をしたことに加えて、輸出国や海上航路のボトルネックでLNG市場は極端な供給不足となった。そこで長い冬を乗り切るために発電出力を低下させて燃料在庫を温存したため、予備率が急減し綱渡りの発電状況となっている。
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