2020年のグローバル市場における最大のトピックは、コロナ危機下における株価の大幅な反発だったといえよう。とくに大きなサプライズだったのは、企業収益が減速する中でもPER(株価収益率)が大幅に切り上がる形で株価が上昇したことである。米国のPERは19年末の18倍から22倍に上昇しており、日本でも14倍から18倍に上がっている。米国では1年前の18倍でさえ過去平均よりかなり高く、株価は割高だとの指摘が多かった。22倍という数値は、ITバブル期の00年につけた24倍という過去最高値をもうかがう水準である。
単純な株式投資理論に基づけば、株式のリスクプレミアム(リスクに応じた利回り)は株価収益率の逆数である益回りとリスクフリーレート(無リスク利回り。国債など)との差として算出される。イールドスプレッドともいわれ、現在、これは4%弱である。かつて、株式のリスクプレミアムは消費者の一般的な経済行動(この中には株式投資も含まれる)におけるリスク選好度との対比で高すぎるという研究があった。ノーベル経済学賞受賞者のエドワード・プレスコットらが1980年代に行った研究で、この事象は「エクイティー・プレミアム・パズル」と呼ばれた。当時推計された「あるべき株式のリスクプレミアム」は1〜2%であった。
危機に慣れたのか
プレスコットらの研究の後、なぜ株式のリスクプレミアムが恒常的に高いのかについて多くの経済学者が仮説を提示しているが、そのうちの1つに、「レアディザスター(まれだが起こりうる大惨事)・モデル」がある。それは、何十年かに一度の大災害や戦争などによって経済や企業収益が大きな打撃を受けるリスクを計算に入れた結果、株式のリスクプレミアムは高めに設定されているというものである。
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