米ドルは名目実効レート(多通貨間での実力を測る指標)でみると、昨年5月半ば以降下落基調が続き、10%程度下落している。昨年1年間を通じて主要10通貨中、最も弱い通貨となった。
米ドル全体、つまり名目実効レートでみた米ドルの動き方には一定のパターンがある。もちろん、いつも同じパターンになるとは限らないし、長い期間では米国や他国の経済構造が大きく変わることによってパターンが変化する可能性もある。だが、過去20年間ぐらいは一定のパターンにおおむね沿っている。
それによると、米ドルが上昇するのは、次の2つの条件のうちどちらかが当てはまるときだ。
まず、世界的に株価が大きく下落するような、いわゆるリスクオフ(リスク回避)の環境にあるとき。世界経済が力強い成長を続け、投資が活発に行われるようなときには、米ドルから新興国などに投資資金が流れるため米ドルは売られる。だが、環境が一変して世界的に株価が下落し、先行き不透明感からリスク回避姿勢が強まると、投資資金の回収とともに米ドルは買い戻される。その際、円のほうがより買い戻されることもあるので、円高米ドル安になることが多く、円との比較ではわかりづらくなるが、その他の通貨に対しては米ドルが上昇している。
米ドルが強くなるもう1つの条件は、さらに2つの条件から成る。1つ目が米国経済の独り勝ち、2つ目がFRB(米連邦準備制度理事会)への利上げ期待がその他の中央銀行への利上げ期待よりも強いことだ。基本的にはこれら2つがともに当てはまるような状況になると米ドルは上昇する。
世界経済が好調なときは通常、前述のように米ドルから投資資金が他国に流れるため米ドルは売られるが、米国経済がその他の国に比して突出して強く、FRBへの利上げ期待が目立って強まると、米ドルは買われる傾向がある。このとき、円は弱い通貨となっているので、米ドル円相場は比較的力強く上昇し円安米ドル高となることが多い。
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