米国で約30年にわたって続けられてきた学校選択の取り組みが、岐路に立たされている。
1月20日に発足するバイデン政権は、教育格差の解消を目的に公教育の充実をうたう。幼稚園から高校までの公教育に関し、連邦政府の予算を3倍に増やす方針だ。
教育行政をつかさどる教育長官には、公立学校で教鞭を執った経験のあるコネティカット州教育長官のミゲル・カルドナ氏を指名した。同氏は、「多くの生徒にとって、公教育は手入れされずにしおれたバラのようなものだ」と指摘し、「そのすばらしさと目的を守るために、卓越した庭師にならなければならない」と改革に意欲を示す。
難しい立場に置かれているのが、学校選択の象徴だったチャータースクールだ。チャータースクールは、州政府からチャーター(特別認可)を得たうえで、教師や保護者が主体となり公費で自主運営する学校のことで、1990年代初めに誕生した。従来型の公立学校と比較すると、自由度の高い運営が許されている。マイノリティーや貧困層などの恵まれない環境にある生徒に対し、学力向上へしっかりとした教育を行い、教育格差の緩和につなげる狙いがある。
90年代以降の米国では、公教育に競争原理を働かせる試みとして、チャータースクールが奨励されてきた。競争を好む共和党はもちろん、マイノリティーを支持基盤に持つ民主党も、チャータースクールには前向きだった。実際、民主党支持者によるチャータースクールへの支持率は、白人では30%台前半にとどまるのに対し、黒人では50%台半ばにも上る。
これに対し、バイデン政権の教育改革の重点は、従来型の公立学校にある。公教育の予算を増やして、貧困層の多い公立学校に集中的に配分する。一方で、同様の生徒を対象とするチャータースクールについては、生徒の成績などを厳しく監視し、成果が上がらない場合には、厳しい姿勢で臨むという。一部のチャータースクールで学力が向上していない例もあるため、公立学校の改革を軸に教育格差の是正を目指す方針だ。
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