今年の米大統領選挙で勝敗の決め手となったのは、やはり中西部のラストベルト(さび付いた工業地帯)であった。2016年の同選挙では、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンのラストベルト3州をわずか計約7万票の差で民主党から奪って、共和党のトランプ候補が当選した。今回は、民主党のバイデン候補が、やはり僅差で3州を奪い返した。
これら3州で注目されてきたのは、いわゆるプアホワイト、学歴が高卒以下の白人労働者である。かつて米経済の大黒柱だった五大湖沿岸の製造業が廃れ、苦境に置かれている。彼らは、自分たちの納めた税金が無駄に使われたり、連邦政府が生活信条に介入したりするのを嫌う(「小さな政府」論)一方で、年金や医療で政府にもっと面倒を見てもらいたい(「大きな政府」論)とも思っている。
矛盾した訴えは苦境の反映であり、2大政党の間で揺れている。今回の選挙ではわずかに民主党側に振れて、バイデン氏に3州での勝利をもたらした。次回どうなるかはわからない。苦境から救済されるまでは、米政治を揺さぶる「台風の目」のような存在であり、トランプ現象のような過激な事態を何度でも引き起こしかねない。
彼らの苦境は製造業衰退だけが原因ではない。代わって米経済の大半を占めているサービス業が、情報・金融など知識集約型と従来の小売りや運輸などに二極化して収入格差が大きくなり、前者で職を得るには学歴がカギとなっているからだ。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のデビッド・オーター教授によれば、1980年から2012年の間に修士号以上を持つ男子正規従業員の給与は実質56%上がっている。逆に高校中退の場合は22%下がっている。経年でみるとこの学歴格差は広がる一方だ。
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