「身体機能や判断能力が低下した際に、病院同行や買い物支援を誰に頼んだらよいか。また、入院時に求められる身元保証や、死亡後の葬儀や家財処分を誰に託せるか」。これは、身寄りのない単身高齢者にとって、切実な悩みであると聞く。とくにコロナ禍では、身寄りのない高齢者の多くが、感染した場合の対応などを懸念しているのではないか。
家族と同居する高齢者であれば、生活支援、身元保証、死後の事務をさほど心配する必要はなかった。多くの場合、家族が対応すると考えられてきたためだ。しかし、身寄りのない高齢者は、対応してくれる家族がいない。頼れる友人・知人がいればよいが、孤立している高齢者も少なくない。
今後も未婚化の進展に伴って、身寄りのない高齢者は増えていきそうだ。未婚の高齢者は、配偶者だけでなく子供もいないと想定されるためである。例えば、65歳以上の男性の未婚率は、2015年は6%であったが、30年には11%に倍増すると推計されている。
もっとも身寄りがなくても、貧困や要介護の状況になったり、判断能力が低下したりすれば、生活保護や介護保険、成年後見などの公的制度に支えられるだろう。
しかし公的制度は、家族のように必要な支援を、包括的に最期までコーディネートしてくれるわけではない。また、改善されてきたとはいえ、多くの公的サービスは縦割りで、対象者やサービスに限界がある。例えば介護保険は、死後事務には対応できない。また、成年後見人は、買い物などの生活支援を行うわけではない。さらに、公的支援は法律の下でのサービス提供であるため、各自の状況に合った柔軟な支援が難しい。
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