閑散としたオフィス街の映像を見ると、勤労者が消えてしまったと錯覚してしまう。しかし、高層ビルの一角、窓のない密室のコールセンターでは約100人が働いている。隣との座席間隔は1メートル。3密の空間で10時間しゃべり続ける毎日に、従業員の一人は「いつ集団感染が発生してもおかしくない」とため息をついた。
医療現場や食品スーパーで働く人々には、メディアなどで光が当てられることも多い。ただ、目立たない場所で、危険と隣り合わせで働く人々はたくさんいる。
コロナ禍が始まって約3カ月が過ぎた。2011年の東日本大震災後と比べて世の中に元気さが感じられない。それはなぜなのか。
当時、死者、被害者ははるかに多かった。被災地以外でも放射能への不安から外出を恐れる声があった。母国に帰った外国人もいた。一方、海外からは危機の中でも礼節を失わない日本人への称賛の声が上がった。国内でも「頑張れ東北」という善意が高揚していた。
今回違うのは、世界各国、全員が被害者という点だ。他国、他人を助ける余裕がなく、誰もが自分の身を守るのに精いっぱいだ。
元気が出ないのには、秩序に従うことを強いる圧力の存在がある。
秩序を守らせる圧力
もちろん感染防止のためには、外出自粛、休業の要請に従う必要がある。しかし、会社には行政指導に便乗して「あれは禁止、これも自粛」と規制を濫発し始めた管理職がいる。ネット空間には、個々の事情にお構いなく、外出した人間を吊るし上げる「自粛警察」がいる。彼らは他人を秩序に従わせる快感を覚えてしまったのだろう。
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