今年初めに米国の経済学者の間でMMT(現代金融理論)をめぐる議論が盛り上がり、日本にも波及した。筆者も当時、当欄や東洋経済オンラインにこのテーマで寄稿したところ、批判的なものも含めて実にさまざまな意見をいただいた。
最近は、一時のMMT狂騒曲とでもいうような経済論壇における論争はやや下火になっているが、賛成派、批判派の議論がかみ合わないまま痛み分けに終わっている状況に見える。これは、かつてのリフレ論争の構図にも似ている。
「何を目的に政策を行うのか」という最も重要な点を曖昧にしたまま議論が走って、論点がぼやけてしまっているのである。リフレ派対反リフレ派の論争でも、「なぜインフレ率を引き上げるべきなのか」という入り口のところで明確な合意のないまま議論が混乱してしまった。
MMTをめぐる一般的な関心は、「財政赤字をいくら拡大させても問題ない」「金融政策よりも財政政策が有効」といった論点についてだろう。しかし、政策によって何を実現しようとしているのかという点で、批判する主流派経済学者たちも含め議論の焦点が合っていない。
このMMTに関しては、リフレ派の多くも主流派経済学者の側に立っているが、あくまでも「インフレ目標の達成」あるいは「デフレ脱却」といったところに重点を置いて議論している。その結果、物価に責任を負うべきは中央銀行であり金融政策であるという立場からなかなか離れられないのである。
一方、MMTを主張する論者たちは、財政政策を活用して政府が「雇用保障」を行うべきだと主張している。つまり、政策の目的としてより重視するのは「インフレ」ではなく「雇用」なのである。
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