大統領選挙まで1年を切った米国では、トランプ支持か不支持かで世論を真っ二つに割る分断政治が激しさを増している。そんな二極化する米国社会でも超党派で一致するのが、中国を米国最大の脅威と見なす動きである。
この反中の流れは一見、トランプ大統領が主導しているかのようだ。しかしそれは表層的な見方である。今の反中の動きは長い年月をかけて米国内で醸成されてきたもので、トランプ政権の通商政策が引き金となってパンドラの箱が開いたとみるべきだ。
米国は長年にわたって対中国で極めてオープンな政策をとってきた。開かれた社会の価値観で包み込むことで、中国の一党独裁体制が変化して民主主義が生まれ、ルールを重んじる国際社会の一員に進化してくれるという期待があった。だが、現実には期待は見事に裏切られ、気がつくと中国は米国の寛容さを悪用して経済・技術・軍事面で自分たちを脅かす存在になってきた。米国にはそうした怒りを含んだ危機感がある。
今の中国脅威論を世に知らしめたのが、昨年10月にペンス副大統領が当地ワシントンのハドソン研究所で行った演説だ。同氏は先日も中国を非難する2度目の演説を行った。今や当地では中国を擁護する発言は皆無に等しい。
足元の反中感情は、大統領がこだわる貿易不均衡の問題にとどまらず、軍事・技術・外交・思想・人権・人材・企業統治と多方面に広がりつつある。この中国を敵対視する考え方は、今の政権が交代しようとも今後長期にわたって続くというのが、当地に広がった見方である。
来年の選挙を考えれば貿易協議の行方はだいたい想像がつく。再選必達のトランプ氏が今以上に中国との関税戦争を激化させて年後半の景気と株価を押し下げるとは考えづらい。また中国側も選挙の結果を見極めるまでは自ら米政権を刺激することはしないだろう。
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