今年、日本も含め、主要市場のここまでの大きな流れを振り返ると、「株高、債券高(=長期金利低下)」である。米国では、S&P500指数が10月末に過去最高値を更新する一方で、長期金利は過去最低に近い水準にある。株価と長期金利が逆方向に動く局面は、一般的に「金融相場」とされる。すなわち金融緩和(=金利低下)が株価を押し上げる状況である。
しかし、PER(株価収益率)を見ると、最高値更新の米国でさえまだ17倍程度で、過去3年間のほぼ平均水準である。金利低下によって株価が極端に割高な水準へ押し上げられてはいない。むしろ、多少減速気味の実体経済に相応した抑制的な株価形成がなされる中で、金利だけが極端に低下してしまっているというのが実態である。
8月には米国の30年債金利が一時2%を割り込み、ドイツ30年債金利はマイナス0.3%まで低下、いずれも過去最低である。現在は多少反転しているが、まだボトムから0.2〜0.4%ポイント上の水準にとどまる。
この歴史的な低い長期金利水準を生んでいる最大の要因は、米国の金融政策である。すでに3回利下げを行ったFRB(米連邦準備制度理事会)は、今年の春ごろから極めてハト派的(緩和的)なスタンスを表明してきた。FRBの「超ハト派路線」とトランプ政権の金融緩和圧力が交錯し、それを市場が認識した結果、米国はじめ各国の長期金利が劇的に低下したのである。
それにもかかわらず、株価はせいぜい「実体経済並み」の上昇にとどまり、その実体経済も、金融緩和によって劇的な改善を見せているのかというと、そうではない。何か「穴の開いた風船に空気を送り込んでいるような感覚」が、現在のグローバルな金融市場、そして実体経済にも付きまとう。
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