日本企業による8月のネットの対外直接投資は2.0兆円(対外直接投資2.3兆円、対内直接投資0.3兆円)となり、昨年11月以来の高水準となった。
2019年のネット対外直接投資は、1月が大型案件という特殊要因によって7兆円に上ったこともあって、年初来合計ですでに17.8兆円に達し、18年通年の合計額(14.7兆円)を大きく上回っている。2〜8月の月平均で見ても1.5兆円となっており、1年で18兆円ペースは過去最大水準である。
日本企業は依然としてバランスシートに220兆円以上の「現金・預金」を抱えており、ここ数年を見ても引き続き増加傾向にある。
国内に魅力的な投資案件が少なく、銀行に預けておいても金利はほとんどゼロに等しい。それどころか今後は、マイナス金利政策の下で口座にマイナス金利が適用されるか、口座維持手数料さえ取られかねない状況である。日本企業による対外直接投資は高水準を維持する可能性が高いだろう。
日本企業による対外直接投資は13年にアベノミクスが始まる以前は一度も10兆円を超えたことがなかったが、13年以降は10兆円を超える水準を維持し続けている。
従来は、市場心理が悪化すると、いわゆるリスクオフの円買い戻しが起きて円高となった。だが、足元では、こうした対外直接投資の拡大が、市場心理の悪化に伴う円急騰を阻む要因の1つになっていると考えられる。
対外直接投資の全部が円売りを伴っているとはいえないが、約半分は円売りを伴っていると想定される。さまざまな選択肢があった以前とは異なり、今の日本企業は多少海外情勢の先行きに不透明感があっても、海外への投資を続けなければならない状況にあるのかもしれない。
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