9月14日にサウジアラビアのアブカイク製油所がドローン攻撃を受け、石油生産量が数週間にわたり半減した。もっとも、内外の石油備蓄が豊富で、サウジアラビア産石油の供給は遅延なく継続されており、当面の需給には大きな影響は生じない。
しかし、アブカイク製油所は処理能力が日量700万バレルと世界最大級の施設で、サウジアラビアにとって重要な役割を担っている。主力のアブカイクが稼働不能となれば、サウジアラビアの産油活動が休止に追い込まれ、輸出も備蓄取り崩しに頼らざるをえなくなる。仮に長期操業停止に陥れば、IEA(国際エネルギー機関)がOECD(経済協力開発機構)諸国による協調的在庫取り崩しを促すことにもなりかねない。
今回の事件は、湾岸の地政学的緊張がエスカレートし、新たな領域に入ったことを示している。サウジアラビアの供給体制の脆弱性と攻撃が繰り返されるリスクを考慮するなら、原油市況に関わる地政学的なリスクプレミアム(リスクに応じた上乗せ分)の見直しが予想される。
原油価格の影響は各新興国で異なる。そこで、原油価格が当面高い場合のソブリンリスク(国の信用リスク)への影響を整理しておきたい。
原油依存度をチェック
短期的には、中東湾岸諸国への影響が最も大きい。各国経済の多様化の進展に応じて、原油依存度が異なるので、原油価格への感応度にも差が生じる。サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)、カタールは石油化学製品などへの展開を図っている一方、クウェートとオマーンは後れを取っている。
また、南アフリカとトルコは主な純石油輸入国であり、ネガティブな影響が大きい。アジアには純輸入国が多いが、中でもフィリピン、インド、インドネシアが大幅経常赤字を抱えており、負担が懸念される。一方、韓国とタイは相当な経常黒字を享受しているので、安心できる。
この記事は有料会員限定です
残り 755文字
