2019年の年初からマイナス圏に沈んでいた日本の10年国債利回りが、足元でゼロ%近くまで浮上してきた。イールドカーブ・コントロールという金融政策の枠組みの下、ゼロ%程度を10年国債利回りの目標値に据える日本銀行は、利回り環境がようやく正常化してきたと、胸をなでおろしていることだろう。
19年の10年国債利回りは、主要国経済の減速やFRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和への急転換を受け、春先以降大幅に低下した。8月末から9月初めにかけてはマイナス0.3%程度と、日銀が誘導目標レンジの下限とするマイナス0.2%程度を0.1%ポイントも下回った。
利回りが誘導目標レンジの下限を大幅に下回る状況が長く続くと、日銀がオペを通じて長期国債利回りを誘導できないことが露呈し、イールドカーブ・コントロールの信頼感が大きく損なわれるリスクがあった。
しかしその時点で、仮に日銀が長期・超長期国債の買い入れ減額を通じて、長期国債利回りの押し上げに動けば、円高リスクを高めてしまう。円高進行を強く警戒する日銀にとって、イールドカーブ・コントロールの信頼性確保と円高リスクとの間で板挟みとなり、まさに身動きが取れなくなっていたのが19年夏のことだ。
ところが9月の政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は、イールドカーブのスティープ化が望ましいと明言し、その方針を裏付けるように、日銀は長期・超長期国債の買い入れ減額を断行した。円高リスクの後退したことが、それを可能にしたのである。足元で10年国債利回りがゼロ%近くまで上昇してきたことは、そうした日銀の政策がうまくいき、イールドカーブ・コントロールの信頼感を自らの力で回復させたようにも見える。しかし実際には、米国の長期国債利回り上昇に助けられたところが大きいだろう。
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