2019年中のドル円相場は104.10〜112.40円の狭いレンジ内での動きにとどまった。レンジの幅は7.6%で、これは1980年以降で見て最小である。また、3年連続で10%以内にとどまる結果となった。過去3年間、ドル円相場は105〜115円のレンジをほぼ外れていない。
80年以降アベノミクス開始までを見ると、ドル円相場のレンジが10%以内であった年は83年と06年の2回しかない。アベノミクス開始後のレンジは、15年に10%以内となった後、16年は20%弱となったが、その後17年、18年、19年と連続で10%以内の小動きに戻ってしまった。
為替相場の変動は2つの通貨の変動が重なって発生する。ドル円相場のレンジが小幅にとどまっている理由の1つとして、円の動きが小さくなっていることが重要である。複数の通貨間での強弱を見る名目実効レートで見て、円の年間変化率(絶対値)の3年平均は3.8%で、データが取れる97年以降で最小となっている。
キャリートレードの縮小
円という通貨の変動幅が小さくなっている理由の1つとして、円が以前ほど「安全通貨」と呼ばれるような動きをしなくなったことが挙げられる。
円は先行き不透明感が強まると買われることから、しばしば「安全通貨」と呼ばれてきた。しかし実際は、円が「安全通貨」として選ばれて買われるわけではなく、売られていた円が買い戻されているのである。
市場参加者は通常、リスク投資意欲の強いときは、低金利通貨である円を売り、高金利通貨を買うことによって金利差を稼ぐキャリートレードを活発に行う。しかし、地政学的リスクの顕現化や弱い経済指標の公表などで先行き不透明感が強まると、投資家はリスク回避志向となり、ポジションを閉じる必要に迫られるため、買っていた高金利通貨を売り戻し、売っていた円を買い戻す。
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