欧州ではマイナス金利政策が6年目に入った。粗利益の圧縮が続き、欧州金融機関の収益性が懸念されている。この点は、日本でもマイナス金利政策が実施されているので理解しやすい。
一方、EU(欧州連合)は不良債権を削減するための行動計画を進めており、金融機関の不良債権比率は全体として、2015年第1四半期末の6.2%から19年第3四半期末には2.9%まで低下した。バランスシートの改善が進み、クレジット(信用力)は安定しており、欧州金融システムに大きな不安はないという大方の見通しは正しい。
しかしなお、注意が必要であろう。2点指摘したい。
第1に、欧州主要国においても中小金融機関の不良債権処理は不十分であり、リスクが顕在化してくる可能性があること。第2に、改善途上であるとはいえ、不動産向けの不良債権比率が高く、金利上昇には脆弱であることだ。
第1点については、昨年末、イタリア政府がバンカ・ポポラーレ・ディ・バリに対して9億ユーロの資本注入を決定した。ポポラーレというのは、互助組合や職人組合から発展した庶民銀行の業態で、同行の規模は総資産135.7億ユーロとそう大きくはない。イタリア政府は15年に統合銀行法の改正令を公布して、20年末までの株式会社化を義務づけており、同業態に対する再編を促進する流れに沿った動きである。
公的資金は例外措置
もっとも、イタリアの場合には、17年にベネト州の中堅銀行(ベネト・バンカ、バンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァ)と当時国内第3位の銀行モンテ・パスキの経営破綻に際し、EU規定のBRRD(銀行再建・破綻処理指令)では本来できない公的資金の注入を行った実績がある。債権者にも損失負担を強いるベイルイン・ルールがEU法の基本であるにもかかわらず公的資金を注入したのは、あくまでも例外措置であった。
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