サウジアラビアの石油施設がドローン攻撃を受け、同国の産油能力の半分が失われたのは、9月14日未明の出来事だった。サウジは世界最大の石油輸出国であり、影響は世界の原油供給の5%に及んだ。犯行声明を出したのはイエメンの親イラン武装組織フーシだったが、関与が広く取り沙汰されるのはイランだ。
今回の攻撃で中東情勢、そして国際エネルギー市場は転換点を迎えた。というのも、これはペルシャ湾岸地域における米国の覇権、および国際石油市場を安定させる役割を担ってきたサウジの存在意義に真っ向から挑戦状をたたきつける動きだからである。
イランが攻撃に踏み切った直接のきっかけは、米トランプ政権がイラン制裁を強化したことにある。ただ、その背後で起きているのはパワーバランスの変化だ。米国は勝ち目のない戦争に疲弊し、過去80年近くにわたって維持してきた同地域での覇権を明け渡すそぶりすら見せるようになった。
このように米国が後ずさりするのを見て野心をむき出しにしているのがトルコだ。だが、もっと過激なのはイランで、米国を中東から駆逐し、サウジの体制を転覆しようとの野望すら隠そうとしない。
ここ数年、イランは自らの息のかかった武装組織を通じてイラク、シリア、レバノン、イエメンに勢力を広げてきた。フーシはこうした親イラン武装組織の1つだ。イランがサウジの石油施設を攻撃できたのは、周辺地域に足がかりを築いてきたからにほかならない。
対するサウジは米軍の傘に守られているのをいいことに、米国から大量の武器を購入しながらも軍事力をさほど強化してこなかった。その結果、湾岸地域での支配的な地位を脅かされるようになったばかりか、石油施設を攻撃の危険にさらした。基礎的な生活インフラすら安全とはいえず、海水淡水化施設が破壊されたら、サウジの水道からは数日で水が出なくなる。
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