単発仕事で成り立つギグエコノミーの労働条件は概して劣悪だ。だが、移民や学歴の低い人々が担うことの多いギグの仕事は、いずれ機械に置き換えられていく。そしてギグの仕事が消えれば、経済力や社会的地位の異なる人々が接点を持つ機会も減ることになる。では、日常的に人と接する機会が失われたら、いったいどんな影響が出てくるのだろうか。
例えば、配車サービス大手のウーバーは赤字続きだが、黒字化の望みを自動運転技術に託している。創業者のカラニック氏はかつて、グーグルが手がける自動運転車のプロトタイプを目にしてこう語ったとされる。「こいつが完成した瞬間に運転手は要らなくなる。利幅が一気に拡大するぞ」。
少し前には起業の起爆剤になるといわれていたギグエコノミーだが、希望は失望に変わった。ウーバーの運転手になることを夢見る人などまずいないだろう。とはいえ、ウーバーが自動運転に置き換わった暁には人間の接点が失われる点にも目を向ける必要がある。なにしろ、交通機関はすべて無人化される可能性があるのだから。
店員についても同じことがいえる。アマゾンがレジなしコンビニ「アマゾン・ゴー」を出店し、小売りの無人化に動き始めているからだ。ウーバーの運転手と同じく、低賃金のコンビニ店員を「夢の仕事」と考える人はいない。しかし、店員がロボット化されたら、知らない人同士が顔を合わせる場面は一気に減るのではなかろうか。
人間は社交的な動物だ。幸福感は他者との関係に大きく依存している。反面、人間は他人を疑ってかかる、これとは真逆の性質も備えている。「新しい出会いが楽しい」。そんな言葉を口にする学生は多いが、ある研究によれば、最も社交的なタイプでも仲間内でつるんでいることが多い。赤の他人と嫌でも良好な関係を築かなければならなくなる瞬間は、社会人になって初めて訪れるのだ。
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