トランプ米大統領は中東について2つのことにしか関心がない。イランの封じ込めとイスラエルの安全保障だ。
前者に関しては、イランと敵対するサウジアラビアに米軍を増派したばかり。後者に関しては、イスラエルとパレスチナとの和平案を用意すると繰り返し公言している。来年の大統領選挙を大きく左右するテーマでもあるため、トランプ氏は公約を実行に移すかどうか、そろそろ決断を下さなければならない。
トランプ氏から和平案の取りまとめを任されているのは、娘婿のクシュナー大統領上級顧問だ。米国がこれまで仲介役に徹してきたことを考えれば、今回のように自ら先頭に立って和平案を取りまとめるのは前例からの逸脱といえる。だが、発想としては悪くない。
というのも、イスラエルとパレスチナは自力では和平交渉を進められない状況にあるからだ。パレスチナ自治政府は汚職で権威が下がり、過激派のハマスが躍進。一方のイスラエルも右傾化が著しい。
だが、米国が第三者として介入すれば、膠着打開の可能性が開けてくる。イスラエルと親密なクシュナー氏の存在も、逆説的なようだが、和平を後押しするのに大きく役立つかもしれない。
イスラエルは技術大国、核保有国、そして米国の揺るぎない同盟国として周辺国を圧倒する力を持っている。当然、弱小のパレスチナは力で押しまくられれば、ひとたまりもない。つまり、紛争解決の主導権はイスラエル側にある。
特別待遇の深謀遠慮
こうした事情に照らし合わせれば、エルサレムに大使館を移転するなどトランプ政権がイスラエルにあれこれと味方してきた理由も見えてくる。クシュナー氏はイスラエルの肩を持つことで「トランプ氏は信頼できる男だ」というイメージをイスラエル国民に植え付け、そのうえで和平案を持ち込む作戦なのである。実際、トランプ氏の現地での人気はネタニヤフ首相を上回るまでになった。
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