格差は日本で大きな問題になっている。もちろん、米国のような国であれば格差に焦点を絞るのは正しい。米国で格差が拡大しているのは、主に富裕層がますますリッチになっているからだ。
だが、こうした状況は日本には当てはまらない。日本では米国と違って、上位0.1%の超富裕層が手にする所得が増え続けているわけではない。それよりはるかに問題なのは、大部分の国民の所得が下がり続けていることだ。
物価変動の影響を除く平均的な日本人の実質可処分所得は1997年に天井を打ち、2015年までに5%下落した。この間、下位20%の低所得層の所得は1割近く落ち込んだが、上位20%の富裕層の所得も6%減と目に見えて下がった。日本で格差が拡大していたのは00年よりも前の話だ。日本の上位20%と下位20%の間の所得ギャップは00年時点で4.6倍だったが、この比率は15年でも4.5倍と、ほとんど変わっていない(ちなみに米国では7倍を超える)。
つまり日本の貧困層がさらに貧しくなっているのは、平均的な日本人の貧困化が進んでいるからだ。格差が多少縮まったとしても、絶対的な収入が落ち続けては低所得層の救いとはならない。
実は過去20年で実質GDP(国内総生産)は16%成長している。なのに、可処分所得が下がり続けているのはなぜか。
まず、政府の政策によって国民の可処分所得が目減りしたことが挙げられる。所得税からの税収は個人、法人ともに過去20年でそれほど増えたわけではない。負担が増したのは消費税と社会保険料で、実質GDP成長の実に半分が食われた計算になる。10月に消費税率が引き上げられたことを考えれば、国民の購買力は今後、さらに落ち込むはずだ。
この記事は有料会員限定です
残り 710文字
