人工知能(AI)とバイオテクノロジー(生命工学)は私たちの生活をよりよいものに変え、さらなる長寿をもたらす可能性を秘めている。だが私には、これら2つの技術が組み合わさったときのインパクトが過小評価されているように思えてならない。
AIと生命工学は目覚ましい進歩を遂げている。生命工学のコストパフォーマンスは急速に向上し、2001年時点で30億ドル(約3200億円)かかっていたヒトゲノムの解析コストは約1000ドル(約10.6万円)まで下がった。10年前には何カ月も要した解析作業も1時間足らずで済むようになっている。AIも現在のペースで進化が続けば、世界的な経済効果は30年までに15.7兆ドル(約1660兆円)に達すると試算される。これは現在の中国とインドの経済力を足し合わせた額よりも大きい。
とはいえ実際の経済効果はこの程度では済まないだろう。AIの応用範囲は広く、この技術はいずれ私たちの日常の隅々にまで浸透していくことになる。ということは、経済効果もインターネット革命の3〜4倍になるのではないか。そもそも従来の調査ではAIと生命工学が別々に分析されているため、両技術が融合したときの相乗効果が十分に考慮されていない。
例えば、AIと生命工学が組み合わされば、臓器移植などの医療は劇的な発展を遂げる可能性がある。米国では11万人以上の患者が臓器移植を待っているが、移植可能な臓器は毎年何千という単位で廃棄されている。患者とのマッチングに限界があるためだ。
だが、ビッグデータとAIを用いれば、マッチングは飛躍的に向上しうる。医学的に適合しない患者とドナーを多数集め、その中で適合する患者とドナーを引き合わせるドナー交換腎移植の仕組みは現在でも存在する。これをAIによって大規模化すれば、干し草の中から針を見つけ出すような高度なマッチングが可能となるのだ。
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