秋は米サンフランシスコやシリコンバレーで、テクノロジー関連の会議が多く開催される時期だ。海外や全米から参加者が集まり、どこのホテルも満室になることも多い。
サンフランシスコ市内でそうした会議に参加した際に、路上でビラを受け取った。「マリオット・ホテルのグリーンプログラムには協力しないで」という内容だ。
ビラを作ったのは同ホテルの従業員で、明らかに多くの人々が集まる機会を狙っての配布だ。それにしても、ホテルのグリーンプログラムに反対せよと従業員が訴えるとはどういうことなのか。
グリーンプログラムとは、宿泊客へ「再度ご使用になるタオルはタオル掛けに掛けておいてください」「シーツの取り換えが不要な場合は、この紙をベッドの上に置いておいてください」といった室内などで掲示されるものだ。掃除も含めたハウスキーピング自体を、「本日は要りません」と用紙に記入する例もある。いずれの場合も、客の環境意識を喚起して一緒に水や洗剤、電力の無駄遣いを防ぎましょうとアピールする。
ところが、こうした環境に優しい行為によって収入を失う人々がいる。2010年にカナダのバンクーバーにあるウェスティンホテルが同様のプログラムを始めた。その際に、「15客室がグリーンプログラムを選択すると、客室係が1シフト失う」と従業員が訴えていると、地元メディアの『The Tyee』が伝えた。同様の主張は全米各地でも起こっている。グリーンプログラムは雇用を奪い、とくに清掃係として働く人が多いマイノリティーの女性たちに痛手を与えるという見方が出てきた。
残された汚れた部屋
グリーンプログラムの隠れた現実も明らかにされている。例えばホテルによっては、プログラムに協力する宿泊客に5ドル分などの食券を提供するところがある。だが客がそれに飛びついた結果、チェックアウト後には何日も掃除されなかった汚れた部屋が残る。客室係はほかの「1室」と同じノルマとして、限られた時間内にその部屋を清掃しなければならない。客室係は清掃の代わりに得られるチップ収入が減るだけではなく、毎日の仕事に余計な負荷がかかるのだ。
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