FRB(米連邦準備制度理事会)が、近日中に政策金利の引き下げに踏み切るとの見方が強まっている。6月に開かれたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録では、多くの出席者が「最近の動向が経済の重しとなり続けるのであれば、近く金融緩和が正当化されることになる」との認識を示した。ある意味、利下げは既定路線といえる。
他方で、米国経済がなお安定を維持している中での利下げについては、拙速な措置だとして一部に批判も聞かれる。これに対してパウエルFRB議長は、利下げは予防的措置であり、経済の安定維持の観点から非常に有効だ、との見解を述べている。
FOMC見通しの多数意見は、今年中に政策金利が合計で0.5%ポイント引き下げられ、来年は据え置かれる、というものだ。本格的な利下げではなく、あくまでも小幅な利下げにとどまる。これらは、FOMCの中で予防的金融緩和の実施がコンセンサスになっていることを意味する。
仮に、FRBが小幅な利下げを実施した後に米国経済が力を増していくような場合でも、それは政策判断ミスではなく、小幅な利下げによって米国経済の悪化が避けられ、安定が維持されたと自画自賛の説明ができる。
しかし、この小幅な利下げは、予防的措置というよりも、保険的意味合いのほうが強いと考えられる。
トランプ米大統領は、FRBに金融緩和を露骨に迫るという異例の政治介入を繰り返している。FRBは、政策決定で政治の影響を受けないとの姿勢を維持している。だが、仮にこの先、米国経済が悪化した場合、2020年の大統領選挙への悪影響を和らげるため、過去のFRBの金融引き締め策と金融緩和の遅れが悪化の原因だ、とトランプ大統領が責任転嫁の主張をすることは目に見えている。この場合、FRBは国民からの信認を大きく失う可能性がある。
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