「リーマン前」「リーマン後」といった言い方は、もはや使い古されたものかもしれない。しかし、ここにきて米国市場で「資産バブル」といった言葉が使われ始めるなど、改めて「リーマン前」との比較にも関心が向きつつあるようだ。
現在の「リーマン後」における主要先進国の経済面、政策面での特徴としては、次のような点が挙げられるだろう。
①潜在成長率の低下、②景気拡大の長期化、③抑制されたインフレ期待と成長期待、④フィリップス曲線のフラット化、⑤非伝統的金融緩和政策の実施、⑥金融危機後の厳しい金融規制。
これらの特徴は現在の主要先進国にほぼ共通するものだが、実は日本だけは位置づけが異なる。というのも、欧米各国と違い、日本ではすでに「リーマン前」の2000年代半ばを中心とした時期にもこうした特徴が見られていたからである。「リーマン後」の経済状況を指して米国では「ニューノーマル」などとも言うが、日本では必ずしも「ニュー」ではないのである。
06年前後の日本では、景気やインフレがまだ過熱には程遠い状況の中で、「金融緩和環境」を支えに株価や不動産価格が堅調に推移し、不動産市場などは「ミニバブル」だともいわれた。
5月に米中対立を懸念していったん下落した欧米の株式市場は、6月末の米中首脳会談を挟んで再び高値を更新する動きとなった。その一方で長期金利は引き続き低位で安定し、逆行現象ともいえる状況にある。
少なくともグローバルな債券市場は、上記6つの特徴が今後も変化しないことを見込んで推移している。そして、昨年生じた長期金利急騰のような事態は、むしろ誤った環境認識によって引き起こされたとみているようだ。緩和的な金融環境がほぼ恒久的に続くという共通認識が形成され、株式や不動産などのリスク資産価格を押し上げているのが現在の状況だといえる。
この記事は有料会員限定です
残り 751文字
