米中貿易戦争が熾烈となり米国経済を取り巻く環境が悪化する中、FRB(米連邦準備制度理事会)が年内に利下げに動くとの観測が市場で強まっている。加えて、FRBが議論を進めている金融政策の枠組み見直しの帰趨も大きな関心事となってきた。枠組みが大きくハト派の方向に見直されると、この先、予想以上に積極的な金融緩和策が実施される可能性が出てくるとの期待からだ。
6月4〜5日にはシカゴで会合が開かれ、見直し議論がいよいよ本格化してきた。見直しの最大の目的は、予想物価上昇率(インフレ期待)を高めることを通じて、次の景気後退時にも金融政策の有効性を維持することにある。現在の景気回復局面でPCEコア(個人支出関連)の物価上昇率は平均1.6%と、FRBの物価目標2%を下回っている。その結果、同様に2%を下回るとみられる予想物価上昇率が、この先さらに下振れすれば、景気後退時に政策金利をゼロまで引き下げても、実質政策金利(名目政策金利から予想物価上昇率を差し引いたもの)が十分に低下せず、金融政策の景気浮揚効果が限られてしまう。また、政策金利ゼロの状態が長期化し、いわゆる「日本化」のリスクも生じる。
見直しの具体策として、FRB内部でより多くの支持が得られそうなのは、2%の物価目標を平均的に達成することを目指す、というものだ。物価上昇率が景気悪化局面では2%を下回ることが避けがたいとすれば、景気回復局面では2%を明確に上回ることを容認し、平均で2%程度になることを目指す、というものだ。それによって、中長期の予想物価上昇率が2%程度まで高まり、その水準で安定することが期待されている。
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