世界の中央銀行の金融緩和競争が激しくなってきた。
JPモルガンは世界の31の中央銀行の金融政策を分析対象範囲としているが、現在はそのうち19の中銀が今後1年間で利下げを行うと予想している。トランプ米大統領が2000億ドル分の中国からの輸入品に25%の関税を課すと発表する前の4月末の段階では、利下げが予想される中銀は7つにとどまっていたため、この2カ月間で一気に世界で金融緩和予想が拡大したことになる。
JPモルガンが算出する世界の中銀の政策金利加重平均値は現在2.72%だが、これが1年後には2.35%まで低下すると予想している。2016年後半には2%ちょうどまで低下していたので、その当時と比べると水準は高いが、15~16年と似たようなマグニチュードで世界の政策金利が低下する見通しになった。
当時、円は名目実効レート(2国間のみでなく複数の通貨との関係で総合的実力を見たもの)ベースで見ると、世界の金利低下から多少の遅れをもって円高方向へ動いていた。今後、予想どおりに世界の中銀の利下げが続くなら、ある程度の円高圧力がかかることは避けられないだろう。
筆者はドル円相場について、レンジ内での動きながら、日本の投資家や企業の対外投資が続くとみられるため、どちらかといえば円安方向を予想していた。だが、5月から6月にかけて、世界経済、金融政策に対する見通しが急激に変化したことから、円相場に関する予想を大幅に変更せざるをえなくなった。
15~16年当時、先進国の政策金利はすでに低水準であったためほとんど変化がなく、急速な政策金利の引き下げは主に新興国の中銀が行った。しかし、今回は先進国の政策金利加重平均値も0.3%ポイント程度低下することが予想される。円相場にはより直接的な影響が及ぶかもしれない。
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