直近のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合とECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁講演では、いずれも金融緩和の方向が明白に打ち出された。欧米ともに足元の経済指標が極端に悪化してはいないだけに、先行き不透明感が高まるリスクに先手を打つ保険と受け止めてよい。
先見的な緩和バイアスは中央銀行が金利正常化を志向していた2018年とは正反対の動きであり、社債市場のスプレッド(信用リスクに応じた利ザヤ)縮小を後押しし、かつ、価格上昇を長期化させる材料となる。ECBの新総裁に指名されたラガルド氏(11月1日就任)がさらなる緩和強化で臨む可能性さえある。
背景には、世界的に成長見通しがあまり明るくないことと、先進国間の関税引き上げ問題などの地政学的な不確定要因の存在がある。後者でサプライズとなるイベントがあれば、スプレッドの急激な拡大をもたらすリスクがあることを、一応踏まえる必要もある。
しかし、そうしたリスクも、しょせんは政治的な思惑に支配されるもの。市場が予測できる性質のものではないうえ、そうした思惑は政治家の人気取り政策とオーバーラップしているため、少なくともクラッシュシナリオは選択されないだろうとの直感が働く。
さらに、信用サイクルは最終局面にあるという見方にも大幅な修正が必要になっている。低金利が長引く中、民間企業の債務比率が上昇していたため、信用サイクルは米国を中心に拡大し切って崩壊・縮小に向かう手前に来たとの見方が、年初には広がっていた。
この信用サイクルに影響を与える要素としては5つ挙げられる。①レバレッジ(資本に対する債務比率)──企業の資産負債膨張の程度、②信用条件──借り入れが容易か困難か、③発行体のリスク志向──アニマルスピリット(リスクを取る意欲)が高いか低いか、④中央銀行の金融政策のスタンス、⑤成長サイクル──GDP(国内総生産)が拡大方向か縮小方向か。
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